1. 中医学で「肩の痛み」をどう考えるか
中医学では、肩の痛みは「気(エネルギー)」や「血(血液)」の流れが滞ったり、体のバランスが崩れた結果として起こると考えます。具体的には以下のような原因が挙げられます:
気血の滞り:ストレスや筋肉の緊張で「気」や「血」がスムーズに流れず、肩に痛みやコリが生じる。
外邪の侵入:冷えや湿気(例えば、冷房や雨)などの外部環境が体に入り込み、肩の筋肉や関節を硬くする。
内臓の不調:中医学では、肩の痛みは肝臓や脾臓などの内臓の働きの弱さが影響する場合もあると考えます。例えば、肝臓が弱ると筋肉や腱が硬くなり、痛みが出やすい。
経絡の不通:体には「経絡」という気の通り道があり、肩周辺の経絡(特に手陽明大腸経や手少陽三焦経)が詰まると痛みが生じる。
2. 鍼灸治療の仕組み
鍼灸は、鍼(はり)やお灸を使って体のバランスを整え、気血の流れを改善する治療法です。肩の痛みに対しては以下のようにアプローチします
鍼の効果:細い鍼を関連するツボ(経穴)に刺すことで、詰まった気血の流れを促進。筋肉の緊張をほぐし、痛みを和らげる。
お灸の効果:温熱でツボを刺激し、冷えや湿気による痛みを改善。血流を良くして筋肉や関節の柔軟性を高める。
全身のバランス調整:肩だけでなく、関連する内臓や経絡のツボ(例えば、手や足のツボ)にも鍼やお灸を施し、体の全体的な調和を取り戻す。
3. 具体的な治療の流れ
診断:鍼灸師はまず、肩の痛みの原因を探るため、脈診(脈を触る)、舌診(舌の状態を見る)、問診(生活習慣や症状を聞く)を行います。例えば、「肩が重い+冷える」なら湿気や冷えが原因、「ストレスで硬くなる」なら気血の滞りが原因と判断。
ツボの選択:原因に応じて最適なツボを選ぶ。局所に鍼をすることはほとんどありません。
施術:鍼を刺して軽く刺激したり、お灸で温めたりする。施術時間は通常20〜40分程度。
効果:施術後、肩の軽さや温かさを感じることが多い。慢性の場合は数回〜十数回の治療で徐々に改善。
4. なぜ効くの?(素人向けに)
中医学では、体を「川」に例えます。川(経絡)が詰まると水(気血)が流れず、痛みやコリが起こる。鍼灸は、詰まった川の流れをスムーズにし、体の自然な治癒力を引き出すんです。肩の痛みは「川の流れが悪いサイン」なので、鍼灸で流れを整えると、痛みが和らぎ、動きも楽になります。
5. 日常生活でのアドバイス(中医学視点)
冷えを避ける:肩を冷やさないよう、冷房や風に気をつける。温かいタオルやカイロで温めるのも効果的。
ストレス管理:ストレスは気を滞らせるので、深呼吸や軽いストレッチでリラックス。
食事:血を補う食べ物(例:レバー、ほうれん草、黒豆)や温める食材(生姜、シナモン)を摂ると良い。
適度な運動:肩を軽く動かすストレッチや太極拳で気血の流れを良くする。
6. 注意点
鍼灸は即効性がある場合もありますが、慢性の肩こりや痛みは複数回の治療が必要。
体質や症状に合った治療を受けることが大切。
痛みが強い場合や、ケガ(腱断裂など)が疑われる場合は、まず医師に相談。
まとめ
中医学では、肩の痛みは気血の滞りや外部環境、内臓の不調が原因と考えます。鍼灸は、ツボを刺激して体の流れを整え、自然治癒力を高める治療法です。肩の痛みを「川の流れが詰まった状態」とイメージすると、鍼灸がその流れをスッキリさせる助けになるのが分かります。日常生活でのケアも組み合わせると、さらに効果的です!