初めて東洋医学による鍼灸治療を受ける方へ  問診について

2026年08月13日 10:35

東洋医学の問診は詳しくいろいろなことをお聞きします

― なぜ、こんなにいろいろ聞くの? ―

初めて東洋医学による鍼灸治療を受ける方は、

「どうして痛いところ以外のことまで聞くの?」

と思われるかもしれません。

病院では、血液検査や画像検査などから、数値や画像に表れた情報をもとに身体の状態を確認し、診断や治療方針を考えます。

一方、東洋医学では、現在のような検査機器がなかった時代から、人の身体に現れるさまざまな変化を観察し、自然との関わりや長い年月の経験から体系化された理論をもとに、身体の状態を捉えてきました。

そのため、東洋医学による鍼灸では、身体に現れている症状だけでなく、その症状が現れるまでの経緯や、どのような条件で症状が変化するのかを詳しく伺います。

「症状と関係ないのでは?」と思うことにも意味があります

例えば「腰が痛い」という症状があったとしても、

「いつから痛くなったのか」
「どのように始まったのか」
「疲れるとどうなるのか」
「休むとどうなるのか」
「動くと悪化するのか、それとも楽になるのか」
「お風呂に入るとどうなるのか」
「温めると楽になるのか」
「冷やすとどうなるのか」

など、人によって症状の現れ方は大きく違います。

例えば、

「仕事で疲れた日の夕方になると腰が重だるくなり、横になって休むと楽になる」

という方もいれば、

「朝の動き始めが一番痛いけれど、動いているうちに楽になってくる」

という方もいます。

また、

「お風呂に入ると楽になる」

という方もいれば、

「温まるとズキズキして、冷やしたほうが楽」

という方もいます。

同じ「腰痛」という症状でも、その現れ方や身体の反応は人によって異なります。

だからこそ、東洋医学では症状そのものだけでなく、**「その症状が、いつ・どんなときに・どのように変化するのか」**を大切にします。

問診は、身体の状態を知るための「手がかり集め」

東洋医学の問診は、例えるなら探偵が手がかりを集める作業に少し似ています。

「腰が痛い」というのが最初の手がかり。

そこから、

「いつ頃からですか?」
「どのように始まりましたか?」
「疲れるとどうですか?」
「休むとどうですか?」
「動くとどうですか?」
「温めるとどうですか?」
「冷やすとどうですか?」

と、一つひとつ情報を集めていきます。

さらに、症状が出る少し前までさかのぼって、

「何かいつもと違うことはなかったか?」

ということも考えていきます。

例えば、症状が出る1か月ほど前から現在までの間に、

仕事が忙しくなった
睡眠時間が減った
生活リズムが変わった
運動不足になった
逆に急に運動を始めた
食事が不規則になった
人間関係で強いストレスがあった
スマートフォンを長時間使うようになった

など、何か変化はなかったでしょうか。

ご本人にとっては「まさかこれが関係あるの?」と思うようなことでも、症状が現れるまでの経緯を考えるうえで、一つの手がかりになることがあります。

もちろん、一つの出来事だけで「これが原因です」と判断するわけではありません。

さまざまな情報を組み合わせながら、身体の状態を立体的に捉えていきます。

「表・裏」「寒・熱」「虚・実」という東洋医学のものさし

こうして集めた情報をもとに、東洋医学では身体の状態をさまざまな角度から考えます。

その代表的なものの一つが、

表・裏
寒・熱
虚・実

という考え方です。

例えば、

「冷えると症状が悪化して、温めると楽になる」

のか、

「温めると症状が強くなり、冷やすと楽になる」

のか。

また、

「疲れると症状が強くなり、休むと楽になる」

のか、

「じっとしているより、動いているほうが楽になる」

のか。

こうした身体の反応を一つひとつ確認しながら、東洋医学的にお身体が今どのような状態にあるのかを考えていきます。

そのため、同じ「肩こり」「腰痛」「膝の痛み」であっても、問診で伺った内容によって、身体の見方や施術の組み立てが変わることがあります。

症状だけでなく、普段の生活も大切です

東洋医学の問診では、症状以外にも、

「睡眠はどうですか?」
「食欲はありますか?」
「お通じはどうですか?」
「冷えやすいですか?」
「暑がりですか?」

といったことを伺うことがあります。

さらに、

生活リズム、食事、睡眠、運動、仕事、人間関係など、普段の生活についてもお聞きすることがあります。

これも、単に関係のないことを聞いているわけではありません。

身体は、痛いところだけで成り立っているわけではありません。

日々の生活の中で起きているさまざまな変化と、身体に現れている症状を合わせて考えることで、その方のお身体の状態をより深く捉えていきます。

来院前に、少し思い出してきてください

初めて東洋医学による鍼灸治療を受ける方は、来院前に少しだけ症状を振り返ってみてください。

すべてを正確に覚えている必要はありません。

「たしか、こうだったかな?」という程度で大丈夫です。

症状について

☐ その症状は、いつ頃からありますか?
☐ どのように始まりましたか?
☐ 症状が出る1か月ほど前から、何かいつもと違う出来事はありませんでしたか?
☐ 疲れると悪化しますか?休むと楽になりますか?
☐ 動くと悪化しますか?逆に、動いていると楽になりますか?
☐ 動き始めは痛くて、動いているうちに楽になってきますか?
☐ お風呂に入ったり、温めたりするとどうですか?
☐ 患部を冷やすとどうですか?
☐ 押されたり、触られたりすると楽になりますか?それともつらくなりますか?
☐ 食事の前後で症状は変わりますか?
☐ 排便の前後で症状は変わりますか?
☐ 生理の前後で症状は変わりますか?
☐ 夜更かしをすると症状に変化がありますか?

普段の生活について

☐ 最近、生活リズムに変化はありませんでしたか?
☐ 睡眠時間や睡眠の質に変化はありませんか?
☐ 食事の内容や時間に変化はありませんか?
☐ 運動量に変化はありませんか?
☐ 仕事が忙しくなっていませんか?
☐ 人間関係などで、いつもよりストレスを感じることはありませんでしたか?
☐ スマートフォンやパソコンを使う時間が増えていませんか?

例えば、スマートフォンを長時間使うようになったことが、関節痛の症状につながっていることもあります。

ただし、こうした出来事があったからといって、それだけが原因だと決めつけるわけではありません。

大切なのは、症状が出るまでに何があったのか、そして何をすると症状が変化するのかを一緒に確認することです。

「こんなことが関係あるの?」

と思うようなことでも、遠慮なくお伝えください。

何となくの感覚や、普段との違いでも構いません。

一つひとつの小さな情報が、お身体の状態を知るための大切な手がかりになります。

東洋医学の鍼灸では、そうした手がかりを一つひとつ集めながら、その方のお身体の状態を捉え、施術につなげていきます。

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